こんにちは、谷田部です。
先日、個人レッスンでサイドバックをやっている中学生の選手から相談がありました。
右も左もこなす選手で、チームではさまざまな役割を求められているそうです。
その中で、こんなことをよく言われていると話してくれました。
「守備が軽い」
「もっと周りを見ろ」
「センターがうまくいっていない」
「やり切れ、打ち切れ」
「顔が下がっている」
「ガッツが足りない」
「やる気がないように見える」
本人としては、一生懸命やっているつもりでも、否定されているように感じてしまい、かなり落ち込んでいました。
ここで一度、冷静に考えてみてほしいことがあります。
今挙げた言葉には、具体的な解決策が一つもありません。
どれも、起きた現象を後から見て「そう見えた」という感想に近いものです。
これは、野球を見ている人が
「今の打てただろ」
「なんで振らないんだ」
とヤジを飛ばしているのと、本質的には変わりません。
それを丁寧な言葉に言い換えると、指導のように聞こえてしまう。
日本の現場では、実はこうしたことがとても多く起きています。
だから、なかなか改善につながらないのです。
たとえば「守備が軽い」と言われるケース。
これは、気持ちや根性の問題ではありません。
実際に起きているのは、
重心の位置が合っていない
相手との距離感がずれている
一度足を出して簡単にかわされた経験がある
といった、身体的・構造的な理由です。
その結果、本人の中で
「足を出すと危ない」
という感覚が無意識に強くなっていることもあります。
そこに対して
「粘れ」
「ガッツを出せ」
と言われても、動きは変わりません。
場合によっては、
「足を出さなくていい守備」
の方が安定することもあります。
「センターが上げきれない」と言われていた点も同じです。
実際に見てみると、相手の方向にボールを転がしてから蹴っていました。
それでは、相手に触られてしまいます。
離れながら上げる。
それだけで、プレーは改善しました。
「周りを見ろ」と言われている場面でも、共通して起きていることがあります。
それは、ボールしか見ていないという状態です。
蹴った人の顔とボールを同時に見る。
この景色が作れていないと、視野が一気に狭くなります。
その結果、周りが見えない、判断が遅れる、という現象が起きます。
ここまで読んで、どうでしょうか。
今まで言われてきた言葉の多くは、
改善につながる指示ではなく、結果を見た感想だった可能性が高い、ということです。
では、
どこを見ればいいのか
何がずれているのか
どう直せばいいのか。
ここから先は、実際にレッスンの現場で行った
「見方」と「直し方」の話になります。
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ここからは、その選手に対して実際に行ったチェックと修正についてです。
まず確認したのは、ボールを置く位置でした。
右利きの選手でしたが、次に蹴れる位置にボールを置けていませんでした。
本来は、右足の斜め前、踏み込み一歩で蹴れる位置に置きたいところです。
しかしそれができていなかったため、左サイドに行くと無理に左足で蹴ろうとしていました。
右方向から来たボールであれば、
アウトサイドで触って
そのまま右足の斜め前に置けばいい。
左足で蹴る必要はありません。
この点を修正しただけで、プレーの余裕が生まれました。
次に見たのは、視線の使い方です。
ボールだけを見る状態から、
蹴った人の顔とボールを同時に見る。
この視線を作ることで、判断が一気に楽になります。
「周りが見えていない」と言われる選手の多くは、ここに原因があります。
守備についても同様です。
足を出さない
重心を保つ
距離を壊さない。
「粘る守備」ではなく、
「壊れない守備」を意識することで、一対一の安定感が出ました。
実はこの選手、最近は毎試合点を取っています。
調子は良い状態でした。
ただ、調子が良いからこそ、細かなズレが目立っていたとも言えます。
日本のサッカーでは、伸び始めた選手ほど厳しく言われがちです。
「もっとできるだろ」
「そこで満足するな」
そう言われ続け、考えて戻ってこいと言われても、
考える材料がなければ前には進めません。
それで嫌になって、サッカーをやめてしまう選手もいます。
とてももったいないことです。
「答えは自分で出した方が身につく」
という考え方もあります。
確かに一理ありますが、
学校の勉強では、答えをもらい、なぜそうなるのかを理解しながら積み重ねています。
サッカーだけ、すべてを自分で気づけというのは無理があります。
病院で
「調子が悪いなら自分で考えて治してください」
とは言われません。
サッカーの現場では、それに近いことが当たり前のように起きています。
だからこそ、親御さんも
監督やコーチの言葉を、そのまま受け取る必要はありません。
他にも方法は必ずあります。
今言われていることは、
症状なのか
ただの感想なのか。
そこを切り分けて考えることが大切です。
違和感を放置しないこと。
落ち込む時間を長引かせないこと。
正しい見方と、直し方に早く触れることが、
伸びていく選手の共通点です。





