【サッカー個人レッスン症例カルテ】小5女子|試合中にサイドで棒立ちしてしまう(サイド張り張り症候群)

1. 基本情報

  • 学年・性別:小学5年生/女子
  • 所属チーム所在地:茨城県つくば市
  • 個人レッスン実施場所:東京都渋谷区代々木
  • 主な場面:試合中(オフ・ザ・ボール)

2. 主訴(保護者・本人の悩み)

試合中、サイドのライン際に張ったまま動けず、棒立ちになってしまう。ボールに関われない時間が長い。

3. 事前ヒアリング(出てきた仮説)

  • 監督・コーチから「サイドに開け」「外にいろ」など言われていて、その言葉に縛られていないか
  • 「サイドというポジション=そこに固定」の思い込みが強くないか
  • そもそも動き方がわからない(何を見て、どこへ、どんな速さで動くか)
  • サイドに張るメリット・デメリットの理解が曖昧で、判断基準がない

4. 診断

結論:原因の中心は「動き方がわからない」。
その結果として、次の2つの“思い込み”が合体して固まっていた。

  • サイド張り張り症候群:サイドは「張って待つ場所」になっている
  • 歩くの怖い症候群:動く=走らなきゃいけない、と思い込み、動き出し自体が怖い

本来、オフ・ザ・ボールの動きは「走る」だけではなく、角度を作る・パスコースを作る・相手の視界から消えるなど、情報と駆け引きが中心になる。動き(とくにサポートとオフ・ザ・ボール)はパスコースを作る目的があり、動けないとチームが予測されやすくなる。

5. 介入(その場で入れた処方)

処方①「3秒以上、同じ場所に止まらない」

棒立ちを壊す最短ルールとして、まずは停止時間を断つ。目的は“走らせる”ではなく、“景色を変える”こと。

処方②「体の向きを保ったまま“歩いて”角度を作る」

「動く=走る」を解体するため、歩きに意味を持たせた。ポイントは、ボールを受けるための体の向き(オープン)を維持しながら、半歩〜数歩で立ち位置を変えること。ボールを受ける前のスキャン(周辺確認)と体の向きは、受けて前進するための土台になる。

処方③「相手の“前”でもらう癖を修正(正々堂々症候群の解除)」

相手の前に立って受けると、受けた瞬間に1vs1で勝負しなきゃいけない気がして怖くなる子が多い。そこで、
「背後でもらうのはズルではなく、駆け引きであり技術」
に変換。相手の視界を意識し、気配を消して背後で受ける“置き去りの受け方”を導入した。

処方④「間(ライン間)で受ける:サイドの応用」

サイドに張る・中に入るを二択にせず、「ライン間で受ける」へ接続した。ライン間で受ける練習は、前進と関与を増やす定番テーマ。

処方⑤「突然出てきて受ける」

“横切りながら見えている状態”で受けようとすると潰されやすい。相手の視界の外から、タイミングを合わせて「突然出てきて受ける」形へ。これは結局、相手を見る・味方を見る・スペースを見る(スキャン)に戻る。

6. Before / After(変化)

Before

  • サイドに固定され、棒立ち時間が長い
  • 動く=走る、と思い込み動けない
  • 相手の“前”で受けたがり、受けた瞬間に苦しくなる

After

  • 「止まらない」ルールで立ち位置が常に微調整され、関与が増えた
  • 歩きで角度を作れるようになり、怒られる不安が減った
  • 相手の背後・視界の外で受ける発想が入り、受ける場所の幅が増えた
  • サイド張りだけでなく、ライン間で受ける選択肢が出てプレーが立体化

7. 保護者の声

「試合中にずっと外で止まってしまっていたのが、歩きながら場所を変えたり、急に出てきて受けたりして“関われる時間”が増えました。本人も『走らなきゃって思って動けなかった』と言っていて、かなり腑に落ちたみたいです。だいぶ変わりました。」
(要約)

8. 専門家コメント(谷田部の見立て)

小学生は「サイド=そこにいろ」「動く=走れ」「受けたら勝負しろ」がセットで入ると、脳内で難易度が跳ね上がって固まる。
だから最初は、走らせない。歩きに意味を与えて、体の向きと相手の視界を扱えるようにする。
オフ・ザ・ボールは“運動量”ではなく“情報と駆け引き”で楽になる。

9. 今回のポイント(まとめ)

  • サイド張り張り症候群の正体は「動き方がわからない」ことが多い
  • 歩きに意味を与えると、駆け引きが始まり、怖さが消える
  • 相手の前で受けるだけが正義じゃない。背後で受けるのは技術
  • 視界・体の向き・スキャンが、関与を増やす土台になる

10. お問い合わせ

同じように「試合で動けない」「サイドで止まってしまう」「受け方がわからない」などで悩んでいる場合は、お気軽にご相談ください。