【サッカー】守備〜ボールの奪い方
以前「守備の基本」で間合いの詰め方についてお話ししました。その際、「相手のパーソナルスペースに入る」という話をしましたが、そこでは相手を止めて味方が守備に戻る時間を作るということで、ボールを「奪いきる」ところの話はしませんでした。
ということで、今回はどうやって相手のボールを奪うのかについてお話しします。
【基本】ボールと相手の間に入る
「相手のパーソナルスペースに入る、相手の間合いに入るのは危険じゃないですか?交わされちゃうんじゃないですか?」という声をよく聞きます。それについては「抜かれるのは当たり前です」とお話をしています。
相手の間合いに入ったら抜かれるリスクは高くなります。それでも相手の間合いに入って、抜かれたら追いかけ続ける。追いかけ続ければボールと相手の体の間に入るチャンスも生まれます。ここで重要なことは相手のボールを「奪う」よりも、相手とボールの「間に入る」ことを意識することです。「間に入る」チャンスはどうして生じるかというと、ボールを持った相手はゴール方向を意識してドリブルする可能性が高いからです。もし相手が外へボールを持って逃げるようなら、「そのまま外へ追い込む!」ような守備に切り替えるといいでしょう。
間合いを詰めて相手の動きを止めて味方が来るのを待つ方法、そして今回の相手の間合いに入って交わされたとしても追いかけて相手とボールの間に入る方法、どちらが正解というものではありません。たくさんチーム練習することでケースバイケースで動けるようになりましょう。
何より大切なのは失敗を恐れずにやることです。親御さんやコーチへのお願いとしては、お子さんのチャレンジからの失敗については頭ごなしに叱らないようにしてください。
【基本】ボールを奪うときの基本
相手のボールを取ろうと相手にタックルをしかけますが、タックルには2つあってひとつはスタンディングタックル、もうひとつはスライディングタックルです。
スタンディングタックルは、相手がボールを保持していてボールを進めようとしている方へ足を出して阻止するタックルです。
相手が右利きでボールの右側に足を添えているような場合、進行方向は左になるので、そちらに足を出してボールの進行を阻止してボールを奪うのですが、この時ポイントが三つあります。
まず一つ目のポイントは、出した足を振らずにボールの手前で「止める」こと。止めないで足を振ると、両者が足を振るのでボールがどこへ行くかわかりません。なので、タックルへ行く側は足を止めることでボールをその場に止めさせるようにします。そして二つ目のポイントはボールのすぐ側に足を出すこと、相手から距離をおいた位置に足を出しても交わされる可能性があるので、出す足は必ずボールのすぐ近くに出すようにします。
三つ目のポイント出した足はカカトを地面に着けつま先を上に立てることです。そうすることで、ボールが足を飛び越えて先に転がるのを防ぐことが出来ます。これらの三つのポイントを理解してスタンディングタックルをマスターしてください。
もう一つのスライディングタックルは相手ボールが進む方向の前方に出来たスペースにスライディングして足を出すのですが、スライディングの仕方は、最後の一歩、逆足で着地する際にお尻を少し落として低い位置からスライディングするようにします。またスライディングする足はカカト(ヒールカップ)で芝を滑るように足を伸ばします。
そしてタックルのポイントとしては、ボールにスライディングするのではなくスペースにスライディングすること、そしてその際、ボールが引っかかるように進行方向に足を立てることです。スライディングタックルは決まるとカッコイイのでノリでやる子が結構いますが、怪我のリスクが高いものです。十分に練習してからやるように、そして遊び半分にやらないようにしてください。
またプレーとしても、スライディングした後プレーを再開するのにタイムラグが生まれますので、出来れば立ったままのプレー選択が理想です。
【コツ】ボールを奪いきるコツ①
相手のボールを取ろうと足を出した瞬間に交わされる……こんなことをなくすためにしっかりボールを奪いきるためのコツをここでは紹介します。
まず、相手がボールを持ってこちらに背を向けている場合。
相手はこちらにボールを取られないように後ろ向きにボールを遠い位置に置こうとします。そんな時に、相手の背後にべったりくっついた自分は上手くプレッシャーをかけることが出来ず、相手に交わされてしまうというケースがあります。
この時何が悪いのかというと、ディフェンスに行った時のボールの見方に問題があります。
相手が後ろ向き(あるいは半身)でボールを持っていて、こちらは背中に張り付くようにディフェンスに行った場合、目線が上からボールを見ることになるので、相手の肩や背中がジャマでボールはほぼほぼ見えません。そんな中闇雲に足を出しているので、結果的には相手に交わされてしまうことになります。
なので、こういう場合どうすべきかというと、まずボールが見える位置でしっかり腰を落として構え、そして行けると思ったら肩で相手を押しながらボールを取りに行く、こんな感じで相手にプレッシャーを掛けましょう。そしてボールに足を出して取るのではなく、肩で相手を押し込んで奪う。さらにサイドステップを使って相手を押し込みボールを奪うようにしましょう。
また相手がボールを完全にキープしている場合は肩から押してもなかなか押し切れません。そんな時は肩よりもさらに下、肘や腕で相手を押し上げ、相手の腰を浮かせて押すとボールを奪いやすくなります。
もうひとつ、相手が自分より小さな子だった場合、吹き飛ばして怪我をさせる危険もあります。そういう場合は押すときに相手の腕を持ち、吹き飛ばないようにしてあげましょう。
【コツ】ボールを奪いきるコツ②
相手がボールを持って前を向いたらどうやってボールを奪えばよいか……
この場合、相手の蹴り足が右なのか左なのか、そして蹴り足のどちら側にボールを置いているかを見て間合いを詰めます。
例えば相手が右足のインサイドでボールをコントロールしつつ前を向いた場合、ボールは相手の体の内側にコントロールされているので、そちら側に立ってコントロールしづらくします。そうすると相手はアウトサイドでボールを出して縦に進もうとするので、並走しつつ体を寄せてボールを奪いきります。
相手の足がどのようにボールを持ったかが重要なので、前を向いた瞬間の相手の足もとをしっかり確認して、ボールコントロールしている側にプレッシャーを与えてボールを奪いきりましょう。相手と並走する際、手で相手をコントロールするのも重要になります。
そしてもうひとつ、相手がボールを持って前を向いた状態の場合はどうやってボールを奪うか。このケースは「ボールを持って前を向いた」ときと全く違うので、簡単に説明させていただきます。
この場合、まず考えるべきはラインに近い方に追い込みたいということです。掌で相手の肩部分に触れつつ相手を外に追い込みます。絶対やってはいけないのはプレッシャーなしに真っ直ぐ抜けられることなので、ライン側へのこのインサイドカットが重要になります。
そうすると相手は外へ追い込まれるのを嫌い縦へ抜けようとします。そこで肩に当てていた掌を外して相手の前に腕を差し込み、外へプレッシャーをかけボールを奪います。手の使い方が重要になるので、チーム練習等でぜひ仲間と練習してみてください。
【基本】ボールを奪った後の動き方
最後にボールを奪った後めの動き方について解説します。
と言うのも、せっかくボールを奪っても相手と自分が同じ進行方向だとさらに奪い返されるリスクが高まるからです。奪ったボールを奪い返されないためには、体を入れてボールを奪ったら、進行方向とは逆側に進路変更するのが最良の方法になります。ここで必要になるのがアウトサイドターン。このターンをを身につけておく必要があります。
アウトサイドターンのコツと言えば「まず首から回ること」です。首と肩を使って方向転換できるようにアウトサイドターンの練習をぜひしておいてください。実戦で役に立ちます!
まとめ
今回は守備について、間合いを詰めた後の「奪いきる」ところにフォーカスを当てお話ししました。ボールを奪い切るには局面局面での立ち位置、目線の高さ、手の使い方・体の入れ方など様々な要素が絡んできます。ぜひチーム練習等で今回の課題を復習して守備スキルを上げていってください。