こんにちは
谷田部です。
ドリブルの技をたくさん知っている。
動画を見れば、すぐに真似できる。
足元のテクニックも同年代より多い。
自主練習にも熱心に取り組んでいる。
それなのに試合では、覚えた技をほとんど使えない。
無理に出そうとしてボールを奪われるか、結局は近くの味方へ返して終わる。
最近、こういうお子さんが増えています。
技術がないわけではありません。
むしろ、技術を覚えることには熱心です。
問題は、サッカーの技術をゲームの必殺技コマンドのように覚えていることです。
「この足技を出したい」
「次はこのフェイントを使いたい」
「今の場面で技を出せなかった」
頭の中が、覚えた技を出すことから始まっています。
しかしサッカーでは、技を出すことが目的ではありません。
目の前の状況を解決するために、必要な動作を使うことが本来の形です。
技術を覚えることが、サッカーの勉強になってしまった
今はSNSやYouTubeを開けば、いくらでも技術動画が出てきます。
「これだけ覚えれば抜ける」
「試合で使えるドリブル三選」
「一日五分で身につく足技」
短く、分かりやすく、見た目にも派手です。
子どもも真似したくなります。
一つ覚えれば次の技。
それができたら、さらに難しい技。
技術の数が増えるため、本人も上達した感覚を持ちやすい。
保護者から見ても、以前できなかった足技ができるようになれば、成長したように見えます。
ところが、試合では使えない。
そこでさらに新しい技を覚えようとすると、技術だけが増え、サッカーでの使い方が分からないまま残っていきます。
こうして、サッカー選手ではなく「サッカー技術マニア」になっていきます。
試合には「技を出す時間」が用意されていない
技術練習では、これから何をするのかが決まっています。
コーンへ向かって進み、決められた場所でフェイントを出す。
相手は動きません。
距離も毎回同じです。
失敗しても、すぐにやり直せます。
しかし試合では、相手が待ってくれません。
相手との距離。
身体の向き。
寄せてくる速さ。
空いている方向。
味方の位置。
ボールを受けた場所。
毎回、条件が違います。
その中で、
「今日はこの技を練習したから、ここで出そう」
と考えている間に、相手は動いています。
必殺技コマンドを入力するように、決まった順番で動こうとするほど、実際の状況への反応は遅くなります。
技を先に決めるから、相手を見なくなる
技術マニアになっている選手を見ると、ボールと自分の足ばかりを見ています。
本人の意識が相手を抜くことではなく、覚えた動作を完成させることに向いているからです。
右足でまたぐ。
左足へ持ち替える。
身体を振る。
反対側へ運ぶ。
この順番を間違えないように、一生懸命動いています。
しかし、その間に相手がどちらへ動いたかを見ていません。
相手がすでに道を空けていても技を続ける。
相手が足を出しているのにボールを動かさない。
二人目が来ているのに、一人目を抜くことだけに集中する。
これでは、技を正確に出せてもボールを失います。
原因は技の完成度ではありません。
相手よりも、自分が覚えた手順を優先していることです。
レシピばかり覚えても、料理は作れない
サッカー技術を料理に置き換えると、今の状態がよく分かります。
YouTubeやSNSで覚えたドリブル、フェイント、ターン、シュート。
これらは料理でいえばレシピです。
どれだけ多くのレシピを暗記しても、台所に材料も調理器具もなければ料理は作れません。
それなのに、材料を用意する方法も、調理器具の使い方も知らないまま、次から次へと新しいレシピを覚えている。
今、技術を試合で使えない子に起きているのは、これと同じです。
1対1の技を覚えても、前を向いて相手と向き合える場所を取れていない。
シュートを覚えても、ゴールが見える場所へ入り、打てる角度を作れていない。
ターンを覚えても、相手との距離や近づいてくる方向を確認していない。
材料も道具も準備していない状態で、
「練習した技を出そう」
「もっと積極的に仕掛けよう」
「シュートを打とう」
と言われています。
これでは、できなくて当然です。
技術が通用しないのではありません。
技術を使える状況が用意できていないのです。
ここから先では、1対1やシュートの技術を使うために、何を準備し、どうやって状況を作るのかを書いていきます。
技を使うタイミングより、技を使える状況の作り方
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