【指導レポート】小学3年生/ボールを奪われやすい悩みと「余裕」をつくる基礎づくり

【指導レポート】小学3年生/ボールを奪われやすい悩みと「余裕」をつくる基礎づくり

サッカー家庭教師 スタッフ/「サッカー技術の病院」アシスタントトレーナーの川口です。

今回は、小学3年生の選手からいただいた「ボールを持つと相手にすぐ取られてしまう」という悩みに対して行ったサポート内容と、その変化、そして今後の改善ポイントについて詳しくまとめました。小学3年生という年代は、技術そのものよりも「視野」と「ボールの置き所」で大きく差が出る時期です。このタイミングで正しい基礎を身につけることで、4年・5年と成長するにつれてプレーの伸び方がまったく変わります。

■ 学年

小学3年生(トップのポジション)

■ 本人・保護者の悩み

保護者の方からは、次のような相談を受けました。

  • ボールを持つとすぐに相手に寄せられて奪われる
  • 焦って周りが見えないままプレーしてしまう
  • ボール保持時に「余裕」が作れない

本人も同じ悩みを持っていて、「気づいたら相手が近くに来ていて取られてしまう」「ボールを持つと焦る」という不安がありました。サッカーにおいて焦りや怖さは技術ではなく“準備”の問題であることが多く、今回はその準備の質を上げていくことをテーマにサポートを進めていきました。

■ 実際に見て気になったポイント

① ボールを深く足元に入れすぎている

ボールが足元の真下に入り込んでしまい、一歩目が出ず、相手が寄せてきた瞬間に選択肢が無くなる状態でした。足元に深く入ると「止まる」しかできず、その瞬間に相手が詰めてきて奪われやすくなる、悪循環が起きていました。

② トラップ後に下を見続けてしまう

トラップした瞬間に視線が“ガッ”と下に固定され、0.5〜1秒ほど顔が上がらないクセがありました。このわずかな間に相手が一気に距離を詰めてきます。0.5秒はサッカーでは2〜3メートルに相当するため、視線の固定は大きなロスになります。

③ 周囲を確認するタイミングがない

視野の作り方が身についていないため、「見たい瞬間にはもう相手が近い」という状況が多く、判断そのものが遅れがちになっていました。

■ 行ったサポート内容

今回のテーマは「余裕をつくる」。余裕とはボールを持つ時間ではなく、ボールを持つための準備です。

① 視野の作り方(目の使い方)

ずっとボールだけを見るクセを改善するため、「犬の散歩のように、周りを見ながらボールをチラッと確認する」という比喩を使いながら視野の作り方を伝えました。

  • ボールは触る瞬間だけチラ見でOK
  • トラップの直後に顔を上げる
  • “見える状態でプレーする”習慣をつける

最初は「周りを見ながらのトラップが怖い」と言っていましたが、数分で感覚を掴み始め、徐々に周りを見ながらプレーできるようになりました。

② ボールを置く位置(体の一歩先)

ボールを深く入れてしまうクセを修正し、体の一歩先に置くことで“動きながら判断できる”形を作りました。

  • 一歩目が出やすくなる
  • 相手との距離が作れる
  • パス・シュートのスピードが自然と上がる

置き所を変えた瞬間、「動ける!」「前に行きやすい!」と本人の反応が大きく変わりました。動きながら判断できるようになったことで、プレー全体のテンポが明らかに上がりました。

■ 本人が感じた変化

レッスン後、本人からは次のような感想がありました。

  • 「周りが見えるようになった!」
  • 「ボールを前に置くとすぐ動ける!」
  • 「パスが速くなった!」

終盤のミニゲームでは、相手を横にずらしてからパスを出すなど、視野を活かしたプレーも見られ、本人もとても嬉しそうにしていました。

■ 保護者の感想

「今日は本当にプレーが変わったと感じました。今まではボールを持つと焦ってしまっていたのに、周りを見て落ち着いて判断している姿に驚きました。ボールの置き方が変わったことでスムーズにプレーできるようになり、親から見ても成長を感じます。本人も『今日めっちゃできた!』と嬉しそうでした。」

■ 今後の改善ポイント:トップで背を向けすぎない動作作り

次のステップとしては、トップでボールを受ける際に“完全に背を向けない”ことが大きなテーマになります。

現状は受ける瞬間に背中が固定されてしまい、

  • 前を向くチャンスを逃す
  • 相手の圧をもろに受けてしまう
  • 選択肢が減り、苦しい体勢になる

今後は、

  • 半身で受ける準備
  • ワンタッチ目で前を向くための仕込み
  • 相手を外しながら受ける「オープン」の動き
  • 背負った状態からのターンのバリエーション

このあたりを中心にサポートし、「前を向いて状況を変えられるトップ」を目指します。

■ 総評

今回のレッスンは、視野とボールの置き所が変わるだけでプレーが劇的に変わることを実感できた内容でした。小学3年生の選手は、正しい基礎を身につけた瞬間から一気に伸び始めます。これからも、本人が自信を持ってプレーできるようサポートを続けていきます。